税務調査の季節
国税の組織は、7月10日に定期人事異動が行われます。総人員の約1/3が転勤します。
この人事異動から、盆休みを挟み、11月までが、税務調査の最盛期です。調査官(ほんの一部やる気のない人も居ますが)は、この時期は気合いが入っています。
何故でしょう?
7月から12月の仕事ぶり(調査事績)が、翌年7月の人事異動に大きく影響するからです。
ここで、国税の人事システム及びスケジュールを、私の知りうる範囲でご紹介します。
優秀な人材は、自分の人事の希望が叶ったり、国税局・国税庁・財務省から引き抜かれます。
公務員の中では、比較的、実力主義の人事です。
東京国税局と、その管内84税務署には、約1万5千人の職員がいます。
東京国税局人事第一課の約30人程度の人員で、これだけの職員の翌年7月の人事を決めなければならないのですから、それはそれは時間がかかります。
半年の仕事ぶりで決めてしまわないと、間に合わないのです。
1月には上級官庁の各部署から税務署長宛てに、推薦者の依頼が来ます。
4月からは本格的な人事本部が国税局の会議室に設営され、人事課と各部(総務部・課税部・徴収部・調査部・査察部)の人事担当が集結。
約3ヶ月間、不眠不休で人事作業が行われ、7月10日人事異動の約15日前、各幹部に結果が配布されます。
各職員に「人事の予告」が言い渡されるのは、人事異動の約1週間前です。
この日以降に「解散会(みんなバラバラになるので『送別会』とは言いません)」をすることを幹部は嫌がります。
希望が通らなかった、又は希望していないのに、転居を伴う転勤を命ぜられた職員が荒れやすいからです。
異動が決まった職員は、「予告」から7月9日までに、自分の荷物を整え、後任者に引き継ぎをし、7月10日を迎えます。
7月10日10時には、異動者が署長室に列を作り、人事異動通知書を署長から一人ずつ貰います。
それからぐるっと署内を挨拶まわり。
各署・国税局には運送業者がスタンバイしており、転勤する人のダンボールを受け付けます。1箱いくらだったかな?入札で毎年業者は代わります。
異動先が遠い人(東京都区内なら、銚子・館山・山梨県内)も、その日のうちに異動先へ挨拶に行かなければなりません。
暑い日になることが多く、汗だくで異動先へ向かいます。
国税組織は止まらない
CCBではないです(歳バレ)。
当たり前ですが、これだけ人が動いてる最中も、税務署は普段通り開庁しています。
総合窓口は、てんやわんやです。
残った人員で必死に対応していますので、時間がかかっても許してあげてください。
一方調査部門は、異動後、荷物整理して、全員揃ってから、部門の打ち合わせをして、調査対象法人が上司から各々に指示され、調査予約の電話をしていまし「た」。
ですので、実際の調査は7月の最終週辺りからのスタートでし「た」。
今は違います。
6月中に7月の調査予約の電話をしています。
その頃は誰が異動するか、下々は知る由もないので「誰が調査に伺うか判りませんが」と、調査日程だけをアポイントするという感じです。
ですので、7月12日位から調査開始です。せわしないです。
調査時期のまとめ(法人の場合)
1. 7月中旬から12月まで
調査の最盛期です。不正が想定される事案ほど、早く調査が着手される傾向にあります。
調査日数、調査終了までの日数も長くなりがちです。
2日ほど会社で実地調査後、銀行調査や反面調査等を行っています。
お盆はさすがにやりません。
2. 1月中旬から2月14日まで
年明け早々は、申告書の整理を行っています。
実際の調査開始は、成人の日以降でしょうか。
どうしても12月までに終われなかった調査は、先程ご紹介した人事のシステムの関係で、次は3月までの調査終了を狙って来ます。
12月まで終わった調査を「金」、3月まで終わったものを「銀」と、内部では呼んでいます。
12月及び3月上旬は、調査官の焦りが見えます。
調査官本人よりも、上司の方が焦っているかもしれません。
直接上級官庁(国税局法人課税課)から叱咤されるのは、法人1部門統括官、副署長なのです。
3. 確定申告期間中
法人調査担当も、確定申告会場で相談をしていますが、その合間をぬって「顧問税理士がいない法人」の調査に着手します。
税理士は、各地域の公民館などに出向き、申告作成相談に協力しています(私は今年は2月の1日2日、野田市中央公民館で従事しました)。
税理士は、更に顧問先の確定申告を作成しなければいけないわけです。
ですので、確定申告期間中の調査を自粛して欲しい旨、税務署にお願いしています。
着手対象が「顧問税理士がいない法人」となるのは、そのためです。
1・2の期間で調査終了していない事案も、合間に、終了するよう努めます。
4. 4月から6月
人事異動を控えているため、軽い調査が多いです。
調査時期のまとめ(個人)
法人課税一筋でしたので、詳しくは知りません(ごめんなさい)。
おそらく、「調査時期のまとめ(法人)」と、ほぼ同じで、
3.は原則調査着手せず、
4.は、提出された確定申告を保存ファイルに綴りながら、間違いを是正する事務を行っているため、調査着手は少ないと思います。
「顧問の税理士いないのに、税務調査来ちゃった!どうしよう!怖い!」
調査は怖くありません。
相談、調査立会のご依頼、お気軽にお待ちしています。